東京・国立競技場の聖地に、また新たな伝説が刻まれた。7月4日から6日にかけて開催された「第109回日本陸上競技選手権大会」。最終日の男子800m決勝、視線の先にあったのは、ただ一つの勝利と、その先にある世界への切符だった。

■ 圧倒的な「強さ」で見せた連覇

高校3年生だった昨年の同大会で、並み居る実力者を抑えて初優勝を飾った落合。駒澤大学に進学し「学生」として迎えた今大会、彼に求められたのは「勝って当然」という重圧の中での結果だった。

レースは序盤から落合が主導権を握る。1周目を51秒台というハイペースで通過しても、その足取りに迷いはない。バックストレートで後続を引き離しにかかると、スタンドからはどよめきに近い歓声が上がった。

結果は1分45秒93。自身の持つ日本記録(1分44秒80) にこそ届かなかったものの、国内最高峰の舞台で1分45秒台を叩き出し、堂々の2連覇を果たした。

■ 「世界」を見据えたルーキーの矜持

「タイムについては悔しさもありますが、まずは勝ち切ることを最優先にしました」

レース後、息を整えながらも落ち着いた口調で語った言葉には、19歳の若武者とは思えぬ風格が漂っていた。この優勝により、9月に同じ国立競技場で開催される東京2025世界陸上の日本代表選出を確実なものとした。

落合は今季、4月の日本学生個人選手権で1分45秒88、5月の静岡国際で1分45秒16 と、驚異的なペースで1分45秒台を連発している。駅伝の名門・駒澤大学で培われたスタミナと、持ち前のスピードが融合し、今まさにその才能は世界基準へと昇華されようとしている。

■ 東京、そしてロサンゼルスへ

日本選手権を連覇し、国内に敵なしを印象付けた落合。しかし、彼の視線はすでに、世界の強豪たちが集う9月の舞台、そして3年後のロサンゼルス五輪へと向けられている。

「世界で日本人が800mで戦えることを証明したい」。

有言実行の若きエースが、自国開催の世界陸上でどのような景色を見せてくれるのか。国立競技場に響いたあの大歓声は、まだ序章に過ぎない。

By 大澤

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