2026年4月29日、広島広域公園陸上競技場にて織田幹雄記念国際陸上競技大会が開催された。
その女子100mハードルA決勝では日本選手権女王の田中佑美(27、富士通)が日本記録保持者の福部真子(30、日本建設工業)を、0秒05差で押さえ、13秒03で優勝。9月に開催されるアジア大会の大会派遣設定記録をクリアした。
この記録は向い風-0.9mでのレースで、昨年はピーク時に12秒8台の記録が出ていた田中にすれば本格的なシーズンイン時の記録としては数字以上に価値があるものだと言える。
中島ひとみ(30、長谷川体育施設)、福部、田中の東京世界陸上代表の豪華メンバーが顔を揃えた決勝レースだったが、号砲直後にピストルが鳴り、場内は騒然。その中でフライングの判定が出たのは中島ひとみ。まさかの失格判定に場内からは悲鳴が挙がった。
しかし中島は映像を確認して一度はその場を離れたものの、その判定に抗議する形を取り再びスタート地点に戻ってきた。ルール上、フライング判定に対し抗議をすれば、最終ジャッジはその場ではできないため、レース自体には復帰することができる。レース後にやはりフライングだったと判定されれば、その記録は無効となるが、抗議が受け入れられれば順位も記録も有効となる。
仕切り直しのスタートは福部が好スタートを切ったが、中盤から田中が猛追。昨年から取り組んでいる抜き足の横振り化の成果があってか、ディップが以前より深くなり、インターバルの走りが高速化した。最終ハードルで田中が逆転するとそのままフィニッシュ。「フライングをしたのが自分と判定されたときは頭が真っ白になった」とのちに語った中島はその影響でか本来のパフォーマンスを発揮できず4位に終わった。
ゴール後はそんな中島が、選手と観客に何度も頭を下げていた。最後の集合写真では田中、福部、清山ちさと(34、いちご)中島と仲の良い4人が笑顔を見せていた。
レース後、田中は今季を迎えるにあたり、「これまでは冬期の1月2月もヨーロッパのインドアで試合に出ていたが、今期は世界陸上前後でアキレス腱を傷めていたこともあり、試合には出ずにしっかり鍛練期に充てることにした。それにより、体も大きくなり技術の確認も進み、自分の成長を感じている」とし、今回の安定した走りの要因を語った。
9月のアジア大会については「記録がなかなか伴わない選手だなっていうふうに自分では思ってまして、記録が出ないのは歯痒いところではあるので、アジア大会はもちろん、その先のことを考えて、しっかりと速くなりたい。1秒でも速くって思ってます」と意気込んだ。