◆「タイミングは最悪」

2021年5月15~16日に埼玉県の熊谷スポーツ文化公園陸上競技場にて第63回東日本実業団陸上競技選手権大会が開催され、男子100m・200mにドーハ世界陸上4×100mR銅メダリストである白石黄良々(セレスポ)が出走した。

2日間通じて、降雨や湿度による重たい空気から決して良いグランドコンディションではなかったし、東京五輪を見据えればこの時期は調整段階で、当然動きも仕上がりも決して良くはなかった。15日の男子100mでは状態によらず勝ち切る、強いレースを見せたが、タイムとしては10秒47(向い風0.9m)で、当然ながら本人から満足感のある表情は見られなかった。

100mの優勝を決めるも、厳しい表情の白石

そうはいっても会場の白石への注目は高いままだった。
迎えた翌日の200m予選、誰もが白石の2冠を疑うことなくその走りに視線が注がれる中、アクシデントは起こった。
コーナー終わり、ストレートに向くまさに直前、右足を引きずるようにして、白石は急激にスピードを落とした。
彼は筆者の目の前で、そのままコースを外れてチームスタッフと車いすで退場した。
暗く沈んだ表情と、しきりに右のふくらはぎを気にしていた様子が印象的だった。
大会関係者からは「(五輪を見据えると)タイミングは最悪だね」との声も挙がっていた。

スタッフと受傷箇所を確認しながら表情を曇らせる白石

ふくらはぎの怪我は治りにくいのが定説だ。あらゆる動きの中でついつい使ってしまう部位だからだ。もちろん寝たきりであれば問題ないが、開催可否は置いておいてもオリンピックが直前に迫った今、それは代表候補者にとっては現実的ではない。
よって、全く動かない期間を最短化するか、受傷箇所に負荷をかけずにトレーニングを行うかという2択になるが、後者の場合はベストコンディションを作る難しさを必然的に伴う。

近年、早期の回復を目指した様々な治療方法が生み出されている。
オリンピックの代表戦線に一刻も早く復帰することを願うばかりだ。

◆追記:怪我は「ふくらはぎの肉離れ」

5月17日に白石自身のTwitterで、けがはふくらはぎの肉離れだと明かした。

「情けない気持ちと日頃より応援して下さってる方々に申し訳ない気持ちです。心技体が整ってないとすぐ崩れてしまうことを痛感しました。まずは治療に専念したいと思います。もう一度自分と向き合って元気な姿で必ず戻ります。」
と語った。

By 大澤

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です