2025年4月25~27日に日本学生陸上個人選手権が神奈川県平塚のレモンガススタジアムで開催された。その3日目、男子200mの決勝が執り行われた。
壱岐元太(京産大・4年)は予選・準決勝とゴール前を流す余裕を見せながら組一位で決勝に駒を進めると、ギャラリーの関心はどんなレースをして勝つか、WUG(ユニバーシヤード)の標準記録を突破できるか、だけだった。
決勝レースが始まると、勢いよく前との差を詰める壱岐。コーナーを出たころには僅差ではあったがトップに躍り出る。そのまま力強いフォームを衰えを見せず、最後まで伸びを見せた壱岐がそのままゴールを切った。記録は20秒65でWUGの標準記録を切っている。あとは風だ。当日の平塚の風は吹き荒れていた。公認記録を狙うのにこれ以上ない悪条件。筆者の体感では追い風が3mくらい吹いている印象だったが、表示されたのは+1.2mと見事公認記録。次のステージに進むにあたり有効な実績を得たのだった。それはまさに神風。いちこ・あいこと2人の日本トップクラスの陸上選手を姉に持つ、壱岐元太は家族ともども陸上の神に愛された男なのかもしれない。
初の全国タイトルに輝いた壱岐だが、「自己ベストがうれしいのですが、20秒5台を狙っていたので少し悔しい気持ちは残っています」と素直に語った。急成長を果たした自らに「遠すぎる目標は掲げたくないです。まずは関西インカレと日本インカレでこの勢いで優勝したいです」と謙虚に戒めるように語った。