2024年6月22日から2日間に渡り、第108回日本陸上競技選手権大会・混成競技が開催される。
パリ五輪を直後に控え、日本トップレベルのアスリートたちによる熾烈な出場権争いが始まる。それに先駆け、今大会の有力選手たちにより前日会見が催された。今回は各選手のコメントをほぼ発言そのままでお伝えしたい。
※写真は左から、丸山 優真(住友電工)、山崎有紀(SUZUKI)、大玉華鈴(日体大SMG)、田上駿(陸上物語)
■丸山 優真(住友電工)
Q:今大会の目標と抱負は
今回はオリンピックの年ということで昨年からオリンピック出場を目標として昨年からやってきた
ので、しっかりとオリンピック出場を勝ち取りたいと思います。
コンディションを上げていくためにやれることはやってきたので、その目標を達成できるように
がんばっていきたいです。
Q:ポイントにしている種目と課題にしている種目は
ポイントになる種目としては今シーズンは投擲種目、特に砲丸・円盤でベストが出ているので
そこを武器にしながら、課題ではないが(4月にイタリアで開催されたマルチスターズ大会で棒高跳
で膝を負傷した経験から)棒高跳びで落ちないことですね(苦笑)
Q:オリンピックイヤーだからこその取り組みや工夫はあったか
去年の12月からエストニアに一人で武者修行に行ってきましたが、世界選手権でエストニアの代表
選手は全員が自己ベストを更新していたということもあり、その源泉は何なのか、ということを探
りたいという思いと、世界で戦うための環境を整えたいと思い練習に励みました。またエストニア
ではシドニー五輪金メダルのエレキドール選手に教えていただけ、それは非常にプラスになりまし
た。技術面はもちろん、意識面の変化は大きかったですね。指導を受けていても、まず目が違っ
た。もう気持ちが違う。引退した今も目を見ただけでこの人はトップアスリートだと分かる目を
していて、世界一を取る選手の目はこういう目なのだなと感じました。
Q:この二日間の中で、ポジ/ネガ両面からポイントになるタイミングはどこか
1日目の幅跳びと高跳びをしっかりやり切れれば2日目は問題ないと思っています。
■田上駿(陸上物語)
Q:今大会の目標と抱負は
今大会の目標としてはもちろん優勝が第一目標としてやっていきたいと考えています。
パフォーマンス面では正直今シーズンに入ってからうまく調整ができていないという現状が
あるんですけど、それでも試合(に出なければならないタイミング)はやってくるので、
一種目一種目しっかり集中して臨めば自ずとパフォーマンスは上がると信じてやっていきたいと
思います。
Q:ポイントにしている種目と課題にしている種目は
今年は基礎体力作りをメインにして体も大きくしたりパワーを上げることをメインに取り組んで
きたので、1日目の100m・走り幅跳び・砲丸投げで自分の流れを作ってそのまま十種目駆け抜けて
いきたいと考えています。
Q:オリンピックイヤーだからこその取り組みや工夫はあったか
ここ2・3年、足首にずっと違和感があったので、今年に向けて昨年10月に手術をしたのが
一番大きな変化のある取り組みだったかと思います。
そこからリハビリを経て、現在はトレーニングも順調に詰めています。
また今までは国内の選手に注目していたが、丸山選手のエストニアでの武者修行の影響を受け、
もっと海外の選手を意識していこうというベクトルに変わりました。
Q:この二日間の中で、ポジ/ネガ両面からポイントになるタイミングはどこか
やはり1日目終了時点でどれだけ流れを自分に持ってこれているかがポイントですね。
冬に強化していたパワーを活かせる種目が1日目に集中しているので、それを武器に流れを
手にしたいです。
■山崎有紀(SUZUKI)
Q:今大会の目標と抱負は
今大会は自己ベスト更新と優勝が目標です。
またオリンピックイヤーということで、(観客が)盛り上がるような点数が出るといいなと
考えています。
今大会に向けての調整については順調に進められており、記録会などを実戦練習として、
それらをこなしながらパフォーマンスを上げてきました。
いいパフォーマンスが見せられるように二日間がんばっていきたいです。
Q:ポイントにしている種目と課題にしている種目は
特に定めておらず、一つ一つ自己ベストを狙って得点を重ねていきたい。
Q:オリンピックイヤーだからこその取り組みや工夫はあったか
全種目通じて工夫はしてきましたが、特に協議中に終止力が入っていて力点(動きのアクセント)
がないというのが課題だったので、実践を積み重ねていくことで切り替えの感覚をつかんで
いきました。
また、技術というよりは体の使い方を改めて調整していて、昨年は砲丸投げでもベストが出たの
で、その点では好調が維持できていると感じています。
Q:この二日間の中で、ポジ/ネガ両面からポイントになるタイミングはどこか
好記録が出ているときはいつも1種目目からいい記録が出ているので、1種目目(100mH)が
ポイントになると思っています。
■大玉華鈴(日体大SMG)
Q:今大会の目標と抱負は
今年はシーズンインが遅れたが、この大会に向けてしっかり準備してきました。
昨年以上の記録を今年も出せるのではないかと思うので、日本人初の6000点を目指してがんばり
たいと思います。
得意な一日目はもちろん、二日目の種目も力を入れていく予定なので、二日間を通して得点を
積み上げられるのではないかと考えています。
Q:ポイントにしている種目と課題にしている種目は
1日目の種目が総じて得意なので、必然的に1日目をトップで折り返すことが前提になります。
トップで始まった2日目を強化中の種目を武器に逆転されないようにしていくというイメージです。
Q:オリンピックイヤーだからこその取り組みや工夫はあったか
基本的には今まで通りではありますが、これまでを振り返ると自分の弱みはラン系のスピード
種目(特に200mや800m)だったので、結果的に幅跳びの助走スピードアップにもつなげて
いきたいという意図もあり、スピードアップを狙って練習に取り組んできました。
Q:この二日間の中で、ポジ/ネガ両面からポイントになるタイミングはどこか
これまでは1日目の種目でトップを取るということがポイントだったのですが、
今は2日目の種目が1日目よりも得意だと感じているので、2日目でどれだけ良いパフォーマンスが
できるかがポイントになってくると思います。
ひと種目が終わるたびに各選手の順位が目まぐるしく変わる混成種目。本番を明日に控えた今も、各選手がそれぞれが全く異なるアプローチで戦略を立て、キング・オブ・アスリート、クイーン・オブ・アスリートの座を争う。日本のキング・クイーンとして世界の舞台に上がるのは誰か。注目してほしい。
また会見の最後に、今回アスリートコラボレーターとして司会を務めた元十種競技日本チャンピオンの中村明彦(SUZUKI)がこんな質問を各選手に投げかけた。
「初めて混成競技を観る人にどこを見てほしいか」
それに対する各選手の回答は以下の通り。
田上:複数試技の種目でなかなか記録が出ずに追い詰められても、
しっかり粘って最終試技で大きな記録を出せるのが強みなのでそれを見てほしいと思います。
丸山:走り幅跳びなどで手拍子を要求することが多いのですが、その場合、ファールか大記録となる
ことが多いです。
ですので、僕が拍手を求めたら大記録が出るのではと期待して見てほしいと思います。
山崎:私も手拍子を要求することが多いので、そのタイミングで反応してもらいたいし、
逆に手拍子で煽られても対応するので観客の方も含め全体で盛り上がる様子を見てもらいたい
です。
大玉:私の武器は跳躍と投擲という本来は相反する種目なので、
その両方ができる選手がいるのかということに驚いてほしいです。
明日からは多くの選手が参戦する。4人だけでもこんなに見せ方が違う。各選手ごとに見どころを探るのも面白いかもしれない。