第71回全日本実業団対抗選手権大会(9月22~24日/岐阜メモリアルセンター長良川)の3日目に女子800mが行われ、田中希実(New Balance)が2分03秒98のシーズンベストで制した。

しかし「最近は力を入れずに(1周目)60秒くらいで走れるようになっていたが、今回はスピードも全然乗ってこなくて、最初の200mも置いていかれた」と田中自身が言うように、昨年の日本選手権のように集団後ろからのスタートとなった。レース中にプランを”2周目からどれだけ上げられるか”に切り替え、レースを進めた。300m~500mの区間は100m16秒台のラップが出たものの、そのほかの区間では15秒台のラップを刻み、ラスト200mのラップは30秒とイーブンペースでレースを進めた。

スピードを重視したには上がりのタイムが物足りないが、それには理由があった。DLファイナルの前日に発熱し、レース当日は37度くらいまで下がったが、その後再び38度、39度に熱が上がった。「帰りの飛行機でも熱が出たのでおかしいぞと思って病院に行ったらインフルエンザでした」と笑顔で語る田中。2日ほど休養し、1日だけ合宿予定地の岐阜・御嶽に入ってこの日のレースを迎えたという流れだ。

今レースでは棄権も「頭をよぎった」という田中だが、それでもこの後に控える世界ロードランニング選手権を見据え、「スピードが戻った状態でないとキピエゴン選手たちとは走れないので、一度800mを入れておくのが大事だと思っていました。地力は確認できたので良いかたちになったと思います」と語った。

ブダペスト世界選手権5000mで8位。ダイヤモンドリーグ(DL)では14分29秒18の日本新を樹立し、急きょ決まったDLファイナル(米国・ユージン)でも14分42秒38で6位に入った。

DLファイナルでは「選手も観客もオールスターみたいな感じで、その雰囲気を楽しんでいました。世界選手権やオリンピックに出ていない選手もダイヤモンドリーグに出てくる(※貧困な国は世界大会や五輪では報奨金が出なかったりするので、賞金が設定されているダイヤモンドリーグを優先して参加するケースもある)ので本当の意味で世界トップというのはすごく難しいと改めて感じました」とトップが見えてきたからこその苦悩を語った。

By 大澤

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